杉本建築アトリエ












建築主への手紙


■私は設備の給水管・給湯管にはステンレス管を使うことを建築主にお奨めしています。何故か。
第一にはステンレス管には赤錆・青錆の発生が有りません。貧乏な拙宅の建築時には、ステンレス管など一般的ではなく、錆水防止には塩ビライニング鋼管の使用が普通でした。金も無いのでそれも使いませんでしたが、現在ではそれが幸いしました。(赤水には悩まされますが。)

第二には(現在はこちらを第一にすべきですが)塩ビライニング鋼管などの合成樹脂が飲料水と接することの危険性です。環境ホルモンが溶出した水分などの摂取による、若者たちの生殖能力の減退が指摘されています。昨年のオープンネット全国大会広島のフォーラムでの、朝日新聞の衝撃的な記事による話です。『精液に含まれる精子の数が、50代が最も多く1億2千万、40代が1億、30代が8千万、20代が6千万、と減少している』
精液1cc中のデータと思いますが、精子の数が4千万を割ると子供ができなくなるとのこと。
大変な事ではないでしょうか。『少子化に歯止めを』どころの騒ぎではないでしょう。
勿論水道管が全ての原因ではなく、プラスチック容器や空気中の環境ホルモンなどの複合要因によるものでしょう。

しかしこんな恐ろしい事が判っていて、なんで塩ビライニング鋼管や樹脂製の管などを飲料水用に使えましょうか。むしろ使う方が不思議ではないでしょうか?フォーラムでもステンレス管の使用を訴えていましたが、当然のことです。反論も有りません。

ところが何故か、設備配管業者の方ではあまりステンレス管が歓迎されていません。見積りを依頼しても、ステンレス管は値段が高いとか、(実際には管材よりも工賃の方が遥かに工事費に占める比重は高く、さほどのコストアップにはなりません)火災の危険が有るとか、自治体では禁止されている所が有るとか、ケチを付けて来る設備業者も居ました。調べてみるとそんな話は無く、むしろ道路埋設の本管にステンレス管を採用している自治体のケースなどが判りました。こういう類の設備配管業者は、環境ホルモンの危険性を一体どう考えているのでしょうか?単なる無知なのでしょうか?

つい先日、ステンレス管で施工した住宅に来た設備業者が、『ステンレス管を使うと、凍結防止帯の過熱で火災の危険性が有る』と建築主に話をしたそうです。『他の設備業者など3社にも聞いてみたが、火災になるとも言えないし、ならないとも言えない、と言っている』とのおまけ付きで。建築主は当然心配になります。私に電話が来ました。

事ここに至っては、私としても徹底的に調査しない訳には行きません。
その結果の建築主への私の手紙をここに公開し、皆さんの参考に供したいと思います。

■その1
件 名  ステンレス配管の火災の危険性について
日 付  平成16年 3月 26日
お電話での表記の件ですが、現在判明したところをご連絡します。
下記は一関市消防署のHPです。
http://www.rnac.ne.jp/~fdryoban/osi-huyukasai.htm
これによると、「凍結した水道管を解凍するために、電気解凍機を使用したが、不適切な使用により水道管が過熱し、周囲の壁体が燃えた。」とあります。
私が以前聞いた設備業者の話もこれと同じ内容です。
消防署の電気解凍機で電流を流す実験でも、ステンレス製のフレキシブルパイプ部分は薄いため、電気抵抗値が高く集中して発熱しています。これは確かに危険です。
したがって消防でも、電気解凍機による火災を防ぐためのポイントとして、
@使用場所から離れない
A説明書をよく読み、長時間使用しない
B臭いや、煙等に注意、確認しながら実施する
を上げています。
ステンレス管メーカーのHPでも、電気解凍機の不適切な使用の危険を表示していました。

これは凍結してしまった管を解凍する時の話であり、凍結防止帯のことではありません。
これから凍結防止帯による火災の事例が有ったかどうかを調べますが、ネットで調べているうちに、そんな事例が有れば使用禁止になっているように思えて来ました。
製造物責任から考えても、凍結防止帯のメーカーでも、既に対応をしている筈です。

ステンレス管メーカーにも、質問のメールを昨日出しました。
この辺の消防署と消防庁にも、質問してみます。

上記HPの内容のコピーを添付し、途中経過をご報告します。


■その2
件 名  ステンレス管の火災の危険性調査結果
日 付  平成16年 4月 2日
『お世話になっております。
表題の件ですが、凍結防止帯による火災の事例の調査結果です。

上田広域消防本部の予防課の後藤さんに質問したところ、毎月出火原因調査データが集まる『独立行政法人製品評価技術基盤機構』から、レポートが消防署に送られて来ることを知りました。凍結防止帯による火災を調べてもらいましたが見つからないようで、上記独立行政法人に質問してくれました。
結果はステンレスのフレキシブル管が電気解凍機の電流によって過熱した事例が有るが、凍結防止帯については良く判らないので、直接私から質問してはどうかとのこと。
そこで今日下記宛に電話をしました。

『独立行政法人製品評価技術基盤機構』 生活福祉技術センター 業務管理課 山本様
TEL 06−6942−1112

その結果、『解凍機の電流によるステンレスフレキシブル管の過熱による事故は有るが、凍結防止帯による事故は1件も受け付けていない』 ことが判明しました。

下記はステンレス管メーカーの回答です。

『こんにちは。
まずは、実際に火災が起きた例があるかどうかを、凍結防止帯を製造販売しているメーカーに問い合わせてみましたが、そのような事例は受けていないとの回答でした。凍結防止帯の過熱が原因で火災が起きる可能性としては、現在の製品は、サーモスタットヒューズなどの安全装置を付けることが義務付けられているので、まず考えられないとのことです。施工に関しても難しくはなく、施工要領書どおりに施工すれば何ら問題はないとのことでした。
基本的な性能としては約3℃で通電を開始し、10℃で通電を停止するようになっています。サーモスタットにより温度を感知して通電・加熱する訳ですが、このサーモスタットの取り付けの際には、サーモ部分を必ずパイプに密着させて取り付ける必要があります。そうしないとパイプ内の温度が感知することができず、連続通電することになります。結果、加熱により保温テープなどが燃え出し、火災の原因になるこということは考えられるとのことでした。
どんな良い製品であっても、施工に間違いがあると問題は発生してしまいます。工事を依頼される場合はしっかりとした知識を持った設備業者様に依頼されることをおすすめいたします。』

上記回答は管の種類には関係の無い事で、電流が管に流れる訳ではない凍結防止帯の場合は防止帯自身の過熱なので、どのような配管にも起こり得る事です。

この件に関しては、また一つ勉強をすることができました。
しかしながら、いい加減な話をして建築主に不安を与える設備業者については、怒りを禁じ得ません。設備のプロとしても、恥ずかしくはないのでしょうか。

以上調査結果を報告します。


■この手紙をFAXで送信した後直ぐに、建築主から電話を頂きました。
 私からのFAXを神棚にお供えした、とのことでした。